美杉で田んぼづくり(その2:稲刈り〜)

つづきです。その1はこちら>

美杉で田んぼづくり(その1:〜田植え)

 

※写真はクリックすると大きくなります。

 

 

稲刈りとはざかけ

 

7月末に穂が出ると、その後は日照りが続き、一番水が欲しい時期なので心配でしたが、うちは幸い川の水が豊富で切れることがなく、順調に育ちました。8月末のツアーも予定通りでかけ、その間はお隣のTさんに見ててもらい、台風も二つやりすごしました。そしてツアーから戻って9月5日に落水。水を抜きます。

 

 

 

 

さて、稲刈りも、筒香で覚えたやり方で、はざかけにします。ただ道具が揃わず。刈り取って束ねるバインダーという機械と、それと、稲を掛けて干す木がありません。バインダーは今年は借りることにしました。そして木。「なる」とも言います。昔田んぼをやっていた家にはどこもあったはずなので、探せば見つかると思ってました。ところがどこも割り木にして燃やしてしまっていて、なかなかみつかりません。

 

”足”にする短いものはどうにかまとまり、上に乗せる長い木は、筒香の師匠にも相談して、竹を切り出して使うことにしました。ちなみに稲架にする材としてはヒノキが丈夫で長持ち。杉もよし。竹は軽くて楽だけどあまり長持ちはしません。

 

 

 

 

使えそうな竹、どこかいいところはないか相談すると、これまた隣のTさんが軽トラでいっしょに行ってくれました。もう80歳近いんですが、気分が乗ると「今から行こか!」と。うちでは鉄人Tさんと呼んでいます。

 

 

 

 

さて、稲架を立てる準備も整いました。ところが。雨が、やみません。稲刈りの条件は、まず稲が乾いていること(早朝も露が付くので稲刈りはしません)、そして機械を入れる場合は田んぼも乾かないと。つまり晴れが続かないとダメなんですが、2週間も雨が続き、これは困ったことでした。周りの田でも、刈り時を逸して中には稲が倒れてしまっているところも。ちなみに大きな田では、大きくて重い機械を使うので、より田が乾かないと入れないわけです。みんなヤキモキする9月でした。

 

9/18。2〜3日雨が止んだところで今日しかないと、稲刈り。田はまだ少しぬかるんでいましたが、思い切ってバインダーを走らせました。一輪のタイプで、刈り取った株の上を行けば大丈夫と思ったんですが、これがぬるぬると滑って、たいへん難儀しました。ただ、この田の稲刈りは、刈りゆく途中もとてもおもしろい光景が広がり。

 

 

 

 

instagram>Choji https://www.instagram.com/chojisong/

 

 

 

植えるのは2条(2列)、刈り取りは1条でしたが、外から順に刈っていけば難なくスムーズでした。そして、稲架を立て、掛けて行きます。

 

 

 

↑ときどきガタンゴトンと行く名松線がうれしい

 

 

田んぼの乾きを見ながら、機械の調子を見ながら2日がかりの稲刈り。刈った稲を夫婦2人だけで掛けていくと(組んだ木の紐が切れて掛け直しもあり…)、ぐんぐんと日が暮れはじめ。明日は雨というので夜までかかってはざかけ。そういえば筒香の師匠も一人で「ヘッドライトつけてはざかけした」と言っていたなぁ。疲労はピークでしたが、もうすぐ満月という明るい月に照らされて、とても美しいひとときでした。

 

 

 

天日干しの決め手はビニール

 

翌日は予報通りの雨でした。ストロー状の茎から雨が入らないようにビニールをかけるのも筒香での知恵。これが後に功を奏します。というのもこの後、また長雨が続き、晴れても2日と続かずまた雨。美杉でも数件、はざかけにしていたところも、この年は天日干しを諦め、乾燥機にかけたと言います。そしてまた台風直撃の予報。「もうはずしたら?」とさんざん言われ悩みましたが、筒香での様子も聞きながら、このまま台風に向かうことにしました。

 

 

 

 

さて、この台風の前に取り入れた仲間の田で、籾の水分率が16〜17%。台風が通り過ぎた(一部稲架は倒れましたが)翌日の午後にうちの籾を計ったらなんと14.7%。台風後の強めの風もよかったのですが、差がついたのは根元にかけたビニールです。地元では、かけたことがないそうです。

 

地方によっては家や田んぼの脇に何段にも高く組んだ稲架場があって、そこに干していたりします。この場合一番上にはだいたい屋根があります。稲から離した屋根があれば、蒸れないので理想です。でも田んぼ内に仮設で組む場合には屋根まで作れず、応急処置としてこのビニールをかけるわけです。これは推測ですが、昔は田植えは6月、稲刈りは10月が普通。長雨が終わり、秋晴れが続くころに稲刈りをして田んぼに干しておけば、屋根をしなくてもよく乾いたんでしょう。気候や道具、田植えの時期も変わり、いくらその土地の話とはいえ、昔のやり方を聞いて再現するだけでは難しいのかもしれません。かたや筒香は現役のはざかけ集落。僕にとってはこの経験が大きな支えとなったわけです。

 

 

 

新米の味はいかに

 

 

 

脱穀は、ハーベスタという自走式の脱穀機。これはさすがに手に入らないと思っていたので、近くの仲間から借りました。そして始めると近所のみなさんがわらわらと手伝ってくれて、あっという間に籾に。そして、本来はこの後に籾摺りという工程があるんですが、大阪の田んぼ仲間からもらった、籾から精米できる精米機でいっきに白米へ。その晩、まだ片付けも終わらない中、どうしても食べたくて、その場に飯盒炊飯を出し、薪で炊いて食べました。2人で顔を合わせ、、「うまい。」本当においしいお米ができました。

 

 

 

 

新米を羽釜で炊いて味わう「収穫祭」の様子はこちら>

http://blog.choji.jp/?eid=1069570

 

 

 

 

現役のはざかけ集落「筒香」とは

 

さてそろそろまとめとするんですが、美杉での初めての田は、自分らならではの経験がさまざまに頼りになりました。まずはなんといっても現役のはざかけ集落「筒香」(和歌山県伊都郡高野町)での経験。最近はツアーで周っていると各地でよくはざかけの様子を見かけることがあり、移住者が自給用に、または農業体験のための場づくりだったりも多い気がします。ただ集落全体が未だに現役農法としてはざかけをしているというのは、とても珍しいことです。中山間地で、一軒の家が所有する田も少なく、新しい大きな機械が入るチャンスがなかったためですが、そのために手をかけて、気候に合わせて工夫し、今でも毎年おいしいお米を収穫しているのはすごいことです。田畑というものは、気候風土が変われば、その土地でまた一から学んでいかなければならないのも事実ですが、筒香での学びは美杉でも活きました。

 

それと、東北から九州まで全国各地、集落等を周るツアーでさまざまな田んぼを見て歌い、話を聞き、時にいっしょに作業し、というのもやはり自分の田を持つ上で大いに参考になりました。

 

そしてもうひとつ、自分の脳内が田んぼでいっぱいだったので、ライブをしてもつい田の話。先日宇陀(奈良県)でのコンサートの時、米の保管について悩んでる事を話すと、翌日連絡があり、「桐の保管庫が一つ余ってるけどいるか?」と。こんな具合に、必要なものを、全国から、借りたりいただいたりできたのもとてもありがたいことでした。

 

 

 

田んぼという作品

 

自由な発想で田んぼを作ったけど、その形は必然であり、おいしい米を作るのが一番の目的です。そうしてできた形は毎日見ても飽きず。日々の変化、生き物との出会い、さまざまな発見と共に、どんどん愛おしくなりました。福岡は糸島の田んぼで話した宇根豊さんは、「どんなに有名で美しい棚田より、自分の田が一番美しい。」と言ってました。まったくその通りだと思います。あぁそうか、これは自分の愛すべき作品。田んぼに絵を描かなくても、おいしいお米を作るために手をかけ丹精込めて作った田んぼこそ、田んぼアートだと僕は思っています。こうなると歌を作るのと変わりませんね。来年はまた一つ田を増やします。できれば体験も。ほんのきっかけでもいいのでこの喜びを、子供たちや街に住む人にも知ってもらいたいのです。

 

 

 

生き物たちの田んぼ

 

最後に田んぼで出会った生き物たちを。

 

 

 

 

↑こいつは川でみつけた子ですが、稲刈りの時に田んぼからも出てきました。

 

 

 

 

来年の計画を少し

 

今年の田にはレンゲの種を撒きました。これを緑肥にして来年は育てます。5月の景色が楽しみですが、レンゲの花を咲かせてからなので、田植えは昔ながらの6月に。田の声コンサートも6月ですね。そして新しい田は、渡りのチョウチョ、アサギマダラを呼ぶ花、フジバカマと共存の田になりました。30年ぶりの複田で水が漏れるので、今いろいろと手を打ってるところですが、この田は冬季湛水(たんすい)にして、ますます生き物いっぱいの田を作ろうと思ってます。またいろいろとお誘いしますが、詳しいことはライブで直接お声かけください。

 

 

 

・・・・・・・・・・

 

●12/16(日)神奈川県/横浜市『Welcome to Choji's House! vol.46』

会場:横浜 Thumbs Up 

時間:OPEN 12:00 / START 12:30
料金:前売¥2500 / 当日¥3000
出演:Choji  メンバー:原さとし(バンジョー, ボーンズ)、倉井夏樹(ハーモニカ他)、関根真理(パーカッション)

予約フォーム

 

Chojiオフィシャルホームページ

http://choji.jp

 

 



calendar

S M T W T F S
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     
<< December 2018 >>

selected entries

categories

archives

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM